弾幕STGだって幻想入りしかけてた(らしい)

STG全体といふ目で見ると、かの「雷電」が抜けてゐたりと少々アレだが、あくまで「弾幕」といふ1要素の歴史を語ってゐるのだと思ふ。さう言ふ意味では良記事。

ただ、東方紅魔郷がを世に送り出した頃(2002年)、神主は弾幕STG自体が幻想のものとなると考へてゐたらしい。

昨今の市販及び同人のシューティングの出来は、あくまで静かにですが、一昔前では考えられない位進化したと思います。
しかし、弾幕STGに限って言うと、私にとってはどうしても納得のいかない方向に進んでいる様に思えます。その大きな要因は、難易度のインフレ、弾が多いだけのもの、派手で綺麗だけど見辛いエフェクト、弾避けを考慮に入れない斬新なシステム、あたりだと思っています。
ゲームとして面白い場合も多く、それはそれでいいのですが、場合によっては「弾避けは面白くない、弾があるのはSTGとしての当たり前」、って感覚が何処かにある様に見えるのです。そう見えるのは弾避けの面白さを追求しないなら、何故、敵弾を排除してからSTGを考え直さないのだろう?と思うからです。

そんなこんなで、紅魔郷で原点に帰り、難易度を抑えて奇抜なシステムも避けて、本来の弾避けの面白さを追求してみました。
弾幕黎明期の頃の弾幕のような本来の存在意義を、21世紀になってもずっと昇華させていたらこうなるだろう、という気で創っています。21世紀の20世紀延長型、と謳ってるのはそういうことです。
勘違いしないで頂きたいのは、90年代後半のゲームにノスタルジーを感じて「やっぱ、STGはあの頃が一番だったなぁ」とか言ってあの頃のゲームを創ったわけではありません(^^; そんなこと言うくらいなら、私なら基盤買います。わざわざ創りません*1

ハードの進化は穏やかになり、それと同時にソフトの進化も行き詰まりを見せ始めています。ユーザーは同じ形での進化を望まず、結果としてゲームは変化を余儀なくされました。ゲーマー層と呼ばれていた層以外のユーザーを取り込む必要が出てきたのも、この行き詰まりがきっかけの一つでした。
(略)
しかし、それと同時に犠牲にするしか他なかったゲーム業界の遺物もあったのです。難しく成り過ぎたSTG、複雑に成り過ぎた格闘ACT……どれもこれも今の業界ではマニア向けを通り越して反面教師として使われる位、もはや『ゲーム新時代の"悪"』といった扱われ方した旧時代のゲーム達。
(略)
実は私、紅魔郷を創ったときは「弾幕STGはこれから消えゆくゲーム」だと思っていました。だからそのうち弾幕も幻想郷入りする予定だろうと、幻想郷では弾幕戦闘がメインなのです。
でも、ゲーム新時代になって過去のシューティングが悪にされたりする位なら、この手で残し続けたいと思ったのです。紅魔郷のキャッチフレーズに「21世紀の20世紀延長型弾幕シューティング」と付けました。
(略)
私と同じように、『ゲーム新時代の"悪"』が大好きな方は同人ゲームに注目しましょう。変わらない新しさを楽しみ続けるのも、乙な物ですよ*2

人が変れば見方も変る。弾幕STGといふ流れにも、当然山や谷があったのだ。


話は元記事からそれるが、東方が受けた理由は、STGとしての出来も良さもあるが、それ以上に世界観としての「東方」が受け入れられたのだと私は思ふ。だから、東方はSTGとしてのみ語られるといふことはあまりない(敢て……と前置きが必要になる) これは、神主が意図してさういふ風に作り込んだためである。この辺りは文花帖の対談か、―特集― シューティングの方法論を参照して欲しい。

東方が爆発的に流行し、それに乗って色々なSTGにもそこそこ光が当てられるやうになった。前に友人から色々紹介してもらひ、なるほど今のSTGには色々あるのだなぁと思ふし、見る分には楽しいのだが、いまいち「やってみようかな」といふ気が起こらない。この辺りの理由も、おそらく前述の対談で語られてゐる通りなのだらうと思ふ。

逆に言ふと(敢てさうしたのだとはいへ)冒頭の記事を見て、「個々の要素*3で東方を語るのは難しいな」といふ印象を強くした。東方が従来の非STG層にも受けたのは、別に難易度が下がったからでも、性能のバランスが良かったからでもない。STGとして『も』面白いけど、東方は東方だからこそ面白い。それが神主の目指した面白いゲームの姿だったからである*4

はっきり言って、アーケードで現在花盛りの音ゲーを私はあまり「簡単」だと思はない。レーシングゲームトレーディングカードゲームも然り。その辺りに、STGメーカーはどこまで気付いてゐるのだらう。

……ええと、何となしに感じたもやもや感を書き綴ったら、いつもの通りまとまりませんでしたと云ふ話(台無し


ちなみに、私は『実況おしゃべりパロディウス』から東方まで空いた人間なので、私自身でSTGの歴史は語れません。悪しからず。
でもよく考へたら、パロディウスは面白かったよな。バカな目的でバカなキャラがバカな音楽の中でバカな敵を相手に織り成す、あのバカな雰囲気。チルノもびっくりである。今にして思へば、あれは私にとってSFCSTGの完成形だったのかも知れない(それで良いのか?w)

*1:紅魔郷 おまけ.txt

*2:風神録 おまけ.txtより

*3:弾幕だけでなく、例へば音楽だけだとか、ZUN帽に表されるイラストだけだとか、ストーリーだけだとか、割と残酷な設定だけだとか、不気味な神主節だけだとか、或いは酒とか宴会だけだとか……あ、でも、妖々夢の90%は酒で出来てるのか(^^;

*4:もちろん、「東方のどこが面白いの?」と言ふ人は、はてな方面含めてかなり居る。さう聞かれたって、「だって面白いから」としか私には答へられない。世界観とはさう言ふものだと思ふ。弾避けの面白さとか、個々の要素で見れば、多分、東方より面白いゲームはいっぱいあると思ふ。それでもなほ東方が面白いのは、色んな要素が有機的に結びつき、かつ一貫した世界観を築いてゐるから。……実は、私はこの辺りの話がFFTにとてもよく共通してゐると思ふのだが、これはまた別に考察したい。