JRの複雑な運賃制度に挫折しかける

先に結論若しくは質問

神戸駅発で高山や富山などに特急に乗って行く場合、新神戸-新大阪間の新幹線自由席乗車券を一緒に購入するだけで、経路を変えることなく単独で購入するより安く切符が買える……はず。といふか、これで間違ってませんよね?

事の発端

JRの運賃のルールを讀んでゐると、新幹線と在来線の特急に直接乗継いだ場合に『乗継ぎ割引』といふものが適用され、在来線の「特急、急行、指定席料金」が半額になると言ふ項目を発見。

例として「ワイドビューひだ」にのって高山駅へ行くことを想定*1して計算すると、

神戸から大阪へ行き、大阪から直接特急に乗った場合、

  • 運賃5,780円 + 自由席特急料金2,310円 = 8,090円

新神戸から新大阪へ行き、新大阪から特急に乗り継いだ場合、

  • 運賃5,780円 + 新幹線自由席料金830円 + 特急乗継料金1,150円 = 7,760円

と、何と新幹線を余分に乗るにも関はらず単独で購入するより安くなるのではないか。といふ結論に達した。

このやうな複雑な運賃計算ができるサービスがなかなかなかったのだが、日立情報が公開してゐるハイパーダイヤにて、神戸駅6時発、新神戸新大阪駅経由で検索すると、やうやく第2経路で登場した。

さらに考へてみた。

但しハイパーダイヤで表示されたものには、神戸から新神戸までの運賃が加算されてゐる。

しかし、新幹線は一般に『新在同一視の原則』(旅客営業規則16条の2第1項*2)が適用されるため、わざわざ新神戸まで行かなくてもそのまま在来線で新大阪駅まで行ってそこで特急に乗れば良いのではないか? といふ疑問がわき出てきた。

次の各号の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区とは、同一の線路としての取扱いをする。
(1) 東海道本線山陽本線中神戸・新下関東海道本線(新幹線)及び山陽本線(新幹線)中新神戸新下関
(後略)

ところが、よくよく調べてみると、西明石-新大阪間は例外として別線として扱ふといふ規定を発見(規16条の2第2項)。

前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間内の駅(品川、小田原、三島、静岡、名古屋、米原、新大阪、西明石、福山、三原、広島、徳山、福島、仙台、一ノ関、北上、盛岡、熊谷、高崎、越後湯沢、長岡及び新潟の各駅を除く。)を発駅若しくは着駅又は接続駅とする場合は、線路が異なるものとして旅客の取扱いをする。
(前略)
(4) 新大阪・西明石
(後略)

矢張りそんな都合の良いことはないのだらうか。……と思ひきや、今度は『選択乗車』といふ規定(規157条42号)があることを発見。

旅客は、次の各号に掲げる各駅相互間を、普通乗車券又は普通回数乗車券(いずれも併用となるものを含む。)によつて旅行する場合は、その所持する乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、各号の末尾に記載した同一かつこ内の区間又は経路のいずれか一方を選択して乗車することができる。ただし、2枚以上の普通乗車券又は普通回数乗車券を併用して使用する場合は、他方の経路の乗車中においては途中下車をすることができない。
(中略)
(39)新大阪以遠(東淀川方面)の各駅と、新神戸又は神戸以遠(兵庫方面)の各駅との相互間(新大阪・神戸間、新大阪・新神戸間)

としっかり明記されてゐた。

と言ふことは、矢張り最初の目論見通り、新幹線乗車券を買ふだけで、ルートを変更することなく特急料金が割り引けるのではないかといふことではないだらうか。

気になったので聞いてみた

ところが、みどりの窓口で運賃照会したのだが、乗継ぎ割引はしっかり適用されたものの、どういふわけか普通運賃が6,620円と、わけのわからない料金を返答された。

その時は計算結果の金額をメモ書してゐなかったので、疑問に思はなかったたのだが、一体マルスくん*3はどんなルートで検索したのだらうか。

それとも、選択乗車が適用されるルートをマルスでは計算出来ないのだらうか? あるいは、発券を新神戸ではなく神戸駅と宣言しなければならないのだらうか? 謎は深まるばかりである。

といふか、もう少しわかりやすい運賃形態にするか、マルス並みにしっかりと経路計算できるサービスをWeb上で公開していただけないだらうか。規約がややこしいとしばしば言はれる青春18きっぷの方が、まだ簡単に思へてしまふ。

*1:今年の夏辺りに白川郷聖地巡礼に行かうかと。

*2:JRおでかけネット - きっぷについて - 7.運送約款(抜粋)

*3:JRの切符発行システムのことマルス - Wikipedia参照