オタの衝動
実は俺にもたったひとつだけ、これは天与の才能だと信じて疑わないものがあるからだ。それは、とにかく文章を大量に書く能力。いつまでも飽きずに書き続け、日常のどんなつまらないことでも細大漏らさず文字に書き写す能力だ。
(中略)
しかし、意識のあるあいだのほとんどの時間は「これをどうやって文章に書けばいいだろう」ということに頭が支配されている。自分の見聞きしたすべてのことを文章にしたいという熾烈な欲望が常に渦巻いている。
あー、解る解る。そこまで大変なものではないけれど、どうにも私には物事を考察したがる癖がある。常日頃「阿求ちゃんサイコー!」と公言して憚らない久樹だが、性格的には霖之助に一番近しい。
特に最近は、ずーっと東方の事ばかり考へてるわ。身体は満員列車の中なのに、心だけは幻想の空を翔てゐる。夢は枯れ野をって奴ですかね。
外を出歩いてゐる時は始終取り留めのない思索にふけり、もしピカーンとネタが降りて来ようものならもう駄目で、日中そのことばかり考へて、その一部が夜頃この雑記に発露したりする*1
つい先日も今考へてゐる実験ネタを友人に話したら、「あほだこの人www」と言はれた始末です。こりゃもう業だね。
人間は考へる葦なんてパスカルさんは言ひましたけど、人間が物事を考へてゐるのか、それとも考へる事に人間が囚われてゐるのか、なんてのは分らんわけです。胡蝶の夢。酔生夢死。非想非非想天の境地なんて遠すぎます。てんこは凄いなあ。気のせいか煩悩まみれに見えるけど。
そんなわけだから、絵師の方々は心の底から尊敬する一方で、イベント前の「ひょっとして血反吐はき過ぎて溺死するんぢゃね?」って様子を見てゐると、まあ、お互い因果なものですよねと同病相憐れむ心境になったりするわけです。才能とは言ひ難いかも知れないが、オタの衝動、それもまた猛獣なのですよ*2