OfficeのUIの話2

昨日の話の続きになるのだが、何故Excelが良くなってWordが悪くなったのか。勿論、良い悪いの話はあくまでも私の主観の話なので、以下もそれに基づいて話を続ける。それを踏まえた上でどうぞ。

さて、昨日私は、Excelは色々細かい機能が追加されて良くなった、と言った。一方Wordは、変な機能ばかり追加された上に重くなって駄目になった、と言った。特に言及しなかったが、PowerPointやPublisherは2007の方が良い。Outlookは2000でも十分だったやうに思ふ。

これらをよく考へると、機能を中心にUI*1をデザインし、改良も機能の拡充といふヴァージョンアップの方向性としては、全てのソフトで一致してゐる事に今日気づいた。

Excelは言ふまでもないが表計算ソフトである。そしてPowerPointはプレゼンテーションソフト。publisherはDTPソフト。共通してゐるのは、機能があればあるほど便利になるといふ性質であらう。

一方Wordといふのは、基本的にデータを処理(入力・出力)するのは人間側の仕事である。適当に測定したデータを放り込んで関数を通せば報告書が出来る、なんてわけにはいかない(ある程度テンプレで何とかなるにしろ)必要なのは人間の思考・出力結果を整理し、その推敲を補助する事であらう。アウトライン機能やスタイル機能は、文書構造を明確にし、それに基づいて出力を整理すると言ふ点でこれを補助してゐる。

オフィススウィートといふくくりで、全てのソフトを共通のUIで提供すると言ふ発想は素晴らしい。元々Microsoft製ソフトの最大の武器は、OSまで含めた全ソフトのインターフェースの親和性であった。ただ、それぞれのソフトで求められる在り方といふのは、異なって当然の事だと思ふ。Microsoftは、Excelと同じ考へ方をWordに適用しようとしたから、結果としてWordが駄目駄目になってしまったのではないか。

さういふ意味では、最初からワープロの方に重点を置いてゐた一太郎が、多少Win標準と使ひ勝手が異なってゐてもそれなりに便利なのは当然であると思ふ*2

となると、幾らOOoが今後多くの人の努力によって様々な機能や動作の改善が行われたとしても、矢張り一太郎を凌ぐに至る事はないのではないか。WordやOOoに限らず、ソフトの性質と本質を見極めるといふ話は、他のオープンソースプロジェクトの多く(特にFxやThunderbird)に言へる事だと思ふのだが、流石にそこまで風呂敷を広げると自分の手に余るのでこの辺りで自重しておく。

ただ、MSの場合、同じOfficeでもOutlookは伝統的に他のOffice製品とUIの一線を画してゐる。Outlook Expressと比べたらまあ良いやうな気がするのだが、どうなんだらう。

あとAccess(データベース管理ソフト)は正直機能があった方が良いのだが、2007は微妙過ぎやしないか? まあ基本的にAccessで使ふといふより、マクロで放り込んでマクロで使ふといふやり方になるのであまり気にはならないが。

更についでに言ふなら、見た目をスタイルごと排除した上で、文章の整理を補助する事に徹底してゐるのがテキストエディタであらう*3Microsoftワードプロセッサばかりでなく、ちゃんと機能を積んだテキストエディタを一度しっかり開発してみては如何だらうか。きっと色々な発見があると思ふのだが。

*1:ユーザインターフェース。要するに使い勝手の事。

*2:そして三四郎が駄目な理由も同様であらう。

*3:伝統的に校正だけはやらないが。てか、あれは最終段階ですれば良いから普段は要らないし。