ストレートとカーブの話

当記事は加筆修正の上、正記事として本家に収録されましたストレートとカーブの話
以下は修正前の参考記事です。


ふと、紫のスペルカード、罔両「ストレートとカーブの夢郷」の元ネタについて思ひを馳せてみた。

『罔両』とは、元ネタWikiにもあるやうに、日影と日向の境界にある薄影の事を言ふ。罔とは「獣や罪人などを捕らへる網・法律」「無」「禁止」「盲い」「強いる・偽る」「憂へる」といった意味があり。両は物を二つに分けて天秤で量るといふ源を持ち、「ふたつ」「ふたたび」「通貨や重さなどの単位」といった意味がある。

『ストレートとカーブ』は、見たところ弾幕の性質そのものを表してゐる様に見える。レーザーがストレートで、ぐねぐね曲がるワインダーと大弾がカーブであることは一度体験すれば瞭然であらう。

だが、是非曲直庁などで登場する『是非曲直』*1といふ語から見れば、(正)直者と曲者のことを表してゐると言ふ説も考へられるのではないだらうか。

となると、最後の『夢郷』の解釈によって、このスペカの持つ意味は全く変ったものになりさうである。夢の郷といふのは、単純に「理想郷」といふ風にも捉へられるし、或いは『華胥の夢』(夢違科学世紀)や『華胥の永眠』(幽々子)の華胥国*2辺りが関係する可能性もある。

正直者も嘘吐きもゐない、或いはさういふ概念そのものが存在しない。善悪は薄影のごとく揺らぎ揺蕩ふ……。映姫様からしたら発狂しさうだが、さういふ状況を表してゐるのかも知れない。

ちなみに、下位互換*3である式輝「四面楚歌チャーミング」はもろに曲者な弾幕なのだが、それだけでは片手落ち。八雲を名乗るとはいへ、藍様もまだまだといふことか。

*1:正しいか正しくないかといふこと。「是非」は、正しいことと間違っていること。「曲直」は、曲がったことと真っ直ぐなこと。

*2:自然に従って生き、物欲、愛憎なく、生死にも煩はされることがないといふ国

*3:いや、難易度的にはこちらの方がはるかに難しいのだが。