無題

ええと、とある蛙(かはず)の独り言。独り言ですので、読んでも解らないと思ひます。今うちのサイトを読まれてゐる殆どの方々には、全く関係のない話です。


さて。井の中の蛙は外海へ飛び出し、まあ、新参と括られて蔑まれることもありますが、中々どうして楽しい毎日です。未だ鳴き出せずですが、次の春にはと思ふ次第です。蛇に見つかるやうな、大きな声ではありませんが。
それはともかく、元の井戸はこれから一体どうなるのでせう。傍観の内に諏訪大戦は終はりを告げさうですが、神さびた古戦場に遺るものはなく、守矢の時代は訪れさうにありません。いつの間にやら亡我郷。何でかうなったのか、私には解りかねます。
随分と厄い話になったものです。流し雛は幾つ要りますか。幾つ流せば、また陽が差し込むでせうか。紅い桜は、何時まで散り続けるのでせうか。こちらの紅葉は目に沁みますよ。

今までお疲れ様です。当分は療養なさってください。さう、いま必要なのは鎮めの時間でせう。荒を鎮め、和を呼び戻すための時間が。本当は、もっと早くお休みになられた方が良かったのではないかと思ひますけど、それはもう今更の事です。何もしなかった私が言ふべき話でもありません。月の岩笠の呪いに時効はありませんが、滅罪には長い時間がかかるでせう。誰のではなく、全員の。

いつか元の井戸にも、空飛ぶ不思議な巫女のやうに、気ままに楽しく暮らせる日が訪れるでせうか。時間はいくらかかっても良いので、さうなることを望みます。蛙は、風雨に負けないものです。

我ら罪深きイヴァリースの子らが
神々の御力により救われんことを――