中秋

永夜抄をやってゐて思ひ出したが、さういへば、今日は十五夜――中秋の名月の夜ではないか。
これはうっかりだと早速飲みかけの酒@四万十川を手にベランダに出てみるが、角度が悪く、こちらから月を見ることは出来なかった。自室で月を愛でられないといふのは哀しいものだ。
仕方がないので外に出てみると、今日は曇りのため、朧月になってゐた。
月が完全に見えなければ、立って待たう立待月、座って待たう居待月、もう寝て待たう寝待月と続くが、朧月の場合は見たうちに入るのだらうか?
月は、地球からの朝夕力を受けてだんだん地球から遠ざかってゐるらしい。その速度は年間約3.8cm*1 千年前は380m遠かったわけだ。さほど影響のある距離だとは思へないが、妖怪にとってはとても重要なのかも知れない。
朧月の面影は、雲の動きによって幢々*2と変化する。ある意味、紗幕越しに輝夜姫を見た貴なる5人の心境かも知れない。尤も、死ぬまでには――早ければ明日にはその面を見せてくれるとは思ふが。はて、十六夜はどんな月影をみせてくれるだらうか。さう想像しながら弾遊びに興じるのも、それはそれでまた趣深い。

*1:Wikipedia 月より

*2:とうとう