「ハゲのおっさんから一言」のブクマコメがあまりにも気持ち悪すぎる件[2]
- 「ハゲのおっさんから一言」のブクマコメがあまりにも気持ち悪すぎる件 - 雑念雑記はてな出張所
- ニコニコ大会議について少しだけ - 煩悩是道場
- 「ニコニコ現実」のプロトタイプとしての「ニコニコ大会議2008」 - 濱野智史の個人ウェブサイト@hatena
- ハゲのおっさんから一言(追記有り)
今日一日何度か考へ直してみたが、矢張りどうしても違和感をぬぐい去ることは出来なかった。しかし、相変はらず自分の考へを上手く言語化出来ない。それを承知の上で、これを最後として感想を述べていきたい*1
まづ、侮蔑的なコメントを投稿した失礼千万な人間を擁護する気は更々無いが、かといってこの「颱風型炎上」*2が正常な状態と言へば、確実にNOであると思ふ。
状況の進展
大まなかな流れについては、先の記事に書いた通りであり、それ以上の進展は殆ど見られない。当たり前の話である。だって会議は終ってしまったのだから。終ったしまったのに、そこに居た人間・居なかった人間が今日も今日で大騒ぎしてゐる。
あとは、例のハゲのおっさんから一言の人はほぼ本人で確定だらうといふことくらゐか。
昨日ハレの日明日ケの日
色々考へたが、昨夜寝る前の天啓通り、矢張りあの舞台は「ハレ」の世界であり、日常的な「ケ」の常識を持ち込むべきではないといふ結論に達しつつある。
そこかしこで「これはイジリではなくイジメ」と指摘されてゐる。イジリはひとつのコミュニケーション手段であるが、イジメはこのコミュニケーションを破壊してをり、結果論で言へば両者は全く異なるものである。
しかしイジリとイジメは、その瞬間を切り出してみた時の構図は全く同じであり、両者の違ひは『時間的にする側される側の関係が固定されて居るか否か』であるに過ぎない。昨日いじられ明日いじり、といふ関係であれば、それは単なる双方向コミュニケーションであり、イジメとは言はない。だからこそ、イジリ≒イジメに近しい構図はそこかしこに溢れてゐる。
そこで話は戻るが、今回の一件は、例へば結婚披露宴なんかで、物凄く音痴な人が、みんなに囃し立てられて熱唱し爆笑の渦を作る光景と同じではないだらうか。もちろん、気心の知れた人*3からの爆笑と、匿名からの「ハゲw」の嵐が同等かどうかは議論の余地がある。しかし、ニコニコ動画といふのがその場の雰囲気へ同化をひとつのウリにする以上、匿名といへども同じニコユーザであるといふ仲間意識はある程度共有されてゐたのではないだらうか*4
何れにしても、そのおっさん氏は質問を終えて着席した時点で、再び「名無しのニコニコユーザ」に戻ったわけで、その時点でこの構図は終了してゐる。その瞬間だけ見れば過剰とも見れるイジリであったが、それはもう終了し、ノーサイドとなったのである。そのおっさん氏がまた別の機会で今回匿名でコメントした誰かに対して「このハゲw いや、俺もだがwww」と言ふ構図があり得るのである。だからこそこれは「イジメ」には至ってゐないと私は思ふ。といふより、一期一会の舞台では成立しようがない*5
もしこれでショックを受けて何かのトラウマになるとすれば、それもう「ご愁傷様。ニコ動にせめてもう半年ROMっていればそんなところには立たなかったでせうね」としか言ひ様がない。ニコニコ動画は『投稿動画』といふハレ舞台を提供する装置である。そこでは「うp主イジリ」が少なからず存在し、(種々の問題を通じて)それなりに認知されてゐる。そしてその場はニコニコ大会議である。同情こそするが、危険予知が足りなかったとも思ふ。
そのことに対して危惧を抱いたり、嫌悪感を持つのは勝手であるし、問題提起するのも自由である。冒頭に述べたやうに、コメを書いた側に問題がない*6とは言はないし、「相手も喜んでゐるから」みたいな無邪気で残酷な感情を両手放しで賛同するつもりは毛頭ない。全ての人々が、あとほんの少しずつ優しくなれますように…。
と強く願ふ。
しかし、昨日今日状況を知った人間から言はせて貰へば、本人が「いや、全然問題なかったッスよ」と言ってゐるのに、周りがハレの事例をケの事例に一般化して過剰に*7問題視し、挙げ句に莫迦だのニコ厨は屑だのニコ動潰れろだの、本人がフォローしようにも本人なら顔写真を晒せとか、そんな「学級会での吊るし上げ」みたいな状態が昨日からずっと固定されてゐて、一体どっちが陰惨なイジメなんでせうねと暗澹たる気分になった次第である。
附記.1
おっさん氏が仮にブログを持ってゐたとしても、そのブログ上でこのやうなフォローを行はなかったのは正解である。増田だからこそ逃げ道が残されてゐるが、もしブログで書かうものなら、そのブログを削除して完全に消滅するまで永久にこの構図は固定されてしまふのである。それはまさにイジメであり、批判を通り越した中傷ブコメを書いてゐる連中は、そのことをどれだけ自覚をしてゐるのだらうか。
附記.2
とは言へ、「擁護する気はない」といひつつ私がこのやうな擁護的な意見を書いたのは、あくまでも本件が「ハレの場での話」であるといふ前提を持ってゐるからである。だらこそ例外的にこの状態は「ありかも知れない」と思へた。
しかし、もしこれが「ニコニコ現実」なる形で「ケの世界」まで持ち込まれやうとするのであれば、私は真っ向から反対するであらうことだけは強調しておく。
何故なら、それは困窮が固定されることによって貧困層を生み出すが如く、イジられキャラが固定されることによってイジメが生じる危険性が、あまりにも高すぎる為である。
まあ、あとニコ厨はもう少し外の人間からどう見られてゐるか考へた方が良い。是々非々もさうだが、何よりも自衛上の問題として。
附記.3
何にしろ、課題は放っておいても勝手にほじくり出されてきたのだから、知恵と技術で良い方向に持って行き、次回も成功裏に終って欲しいものである。
追記(2008/07/08)
怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。
おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。
(フリードリヒ・ニーチェ 1844-1900年)
自分と、はてぶユーザたちに自戒として贈る言葉。
追記(2008/07/08)
コメント欄ではIDトラックバックが飛ばなかったので。ここで亜空間レス*8
1
http://d.hatena.ne.jp/shibata616/20080708/1215510163
村的な、あまりにもはてな村的な……。
ちなみに、私はこの問題を考へるに当たって、ここ最近だけでもこれだけの問題を思ひ返してしまった。
2
http://d.hatena.ne.jp/kana-kana_ceo/
まとまらないと言ひつつ、私よりよっぽど良いまとめ。
「そう、楽しかったんだ。よかったね。だけど、ソレ、すごい下品だよね」くらいのもの
だったら、なにもこんな記事は書かなかった。
3
http://d.hatena.ne.jp/ululun/20080708/1215481203
いやあ、確かに私も同じ立場にゐたら、泣き笑ひしながら「ここはひどいインターネットですね」くらゐは言ってゐたかも知れません。ネタとして。
『生け贄というのは自らの意思で生け贄とならねばならない。』
これはとても重要であり、大前提にあるべき話。
『個人的にいえば「いきなり起きる」というのはちょっと不幸だよねえ、と思う。』今回のおっさん氏はその覚悟があった(みたい)。
そして今回以降はこれが良い意味でも悪意味でも教訓になるだらう。ただ、その第一回目としてはややハードランディング過ぎやしなかったか? といふ重要な指摘。
……って、私、今日何回「重要」って口にしてゐるのだらう。それだけ自分の思考が拙いって事なんだらうなぁ。