第6回東方シリーズ人気投票でみる東方界隈の実態

昨日未明に結果公表された第6回東方シリーズ人気投票について。事前の下馬評通りもあれば番狂わせなどもあり、各所で話題と考察を呼んでいる。
私も結果について言いたい事は多々あるが*1その前に今回は、同時に募集された投稿者アンケートの結果を基に、東方界隈の人口層の実態と変遷についてまとめてみた。

(1/26 グラフを追加、一部修正)

投稿者数の変遷

回数・期間 備考 キャラ部門 音楽部門 アンケート アンケ回答率*2
第1回(2003/03/06〜04/06) 妖々夢頒布前 544
第2回(2003/09/14〜09/27) 妖々夢頒布後 1195 945 728 60.92%
第3回(2004/10/17〜10/23) 永夜抄頒布後 4942 3525 2894 58.56%
第4回(2005/12/18〜12/24) 花映塚頒布後 4426 3801 2997 67.71%
第5回(2008/02/10〜02/16) 風神録頒布後 12220 10787 8501 69.57%
第6回(2009/01/18〜01/24) 地霊殿頒布後 22087 18774 15156 68.62%

表

見ての通り、基本的には右肩上がりで上昇しているが、永夜抄花映塚においてはさほど増加していない事が判る。
また、回を経るごとにアンケートに積極的になっている傾向が見られる。非常に有難い話。

東方を知った時期

時期 該当者数 百分率 1ヶ月辺りの増加数
2008/08〜2009/01(地霊殿〜現在) 745 5% 149.0
2007/08〜2008/08(風神録地霊殿の間) 4719 31% 393.3
2006/12〜2007/08(求聞史紀〜風神録の間) 3408 23% 426.0
2005/12〜2006/12(文花帳〜求聞史紀の間) 1174 8% 97.8
2005/08〜2005/12(花映塚〜文花帳の間) 767 5% 191.8
2004/12〜2005/08(萃夢想花映塚の間) 827 5% 103.4
2004/08〜2004/12(永夜抄萃夢想の間) 1139 8% 284.8
2003/08〜2004/08(妖々夢永夜抄の間) 1142 8% 95.2
2002/08〜2003/08(紅魔郷妖々夢の間) 935 6% 77.9
2000/12〜2002/08(秋霜玉紅魔郷の間) 150 1% 37.5
2000/12以前(旧東方シリーズから) 113 1% 2.6

表

上の表は「東方を知った時期」における集計結果と、それを月数で割る事により「1ヶ月辺りの人口増加数」を平均化したもの。図中の棒グラフは妖々夢-永夜抄間の増加量を100とした場合の月間増加速度の比である。
見ての通り、東方界隈の成長は「永夜抄萃夢想」間と「求聞史紀〜地霊殿」間の二こぶの爆発的成長期があった事が判る。
これは所謂「永夜新参」が言われた時期と、「ニコニコ動画」において東方が急激に流行し始めた時期とほぼ符合するし、多くの人の認識とも一致するのではないだろうか。また地霊殿頒布から今日までの推移を見るに、ニコニコ動画に起因する人口の増加はある程度収束傾向にある可能性も指摘出来る。
一方、二つこぶの間の花映塚頒布後にも増加傾向が見られる事から、単純に整数ナンバーの作品が出るごとに界隈は広がる傾向にあるとも言える。とすれば、今年発表されるであろう新作如何によっては更なる界隈拡大の可能性も十分あり得る
東方版ムーアの法則とでもいうべきか……。

古参の動向

時期 第6回 第5回 第4回 第3回
2008/08〜2009/01(地霊殿〜現在) 745
2007/08〜2008/08(風神録地霊殿の間) 4719 1249
2006/12〜2007/08(求聞史紀〜風神録の間) 3408 2070
2005/12〜2006/12(文花帳〜求聞史紀の間) 1174 1092
2005/08〜2005/12(花映塚〜文花帳の間) 767 680 145
2004/12〜2005/08(萃夢想花映塚の間) 827 639 509
2004/08〜2004/12(永夜抄萃夢想の間) 1139 786 509 120
2003/08〜2004/08(妖々夢永夜抄の間) 1142 994 955 1301
2002/08〜2003/08(紅魔郷妖々夢の間) 935 762 642 1016
2000/12〜2002/08(秋霜玉紅魔郷の間) 150 129 213 380
2000/12以前(旧東方シリーズから) 113 77 22 44

表

上の表は前項と同じ質問について、第3回からの変遷をまとめたもの。
最も大きな特徴としては、永夜抄以前の所謂「古参」と呼ばれる人達のアンケート回答者が横ばいかやや下落傾向にあるのに対し、永夜抄以降の参入者は全ての回において増加している点であろう。
先の投稿総数において永夜抄花映塚のアンケート回答者増がほぼ横ばいだった点と、永夜抄期の第一次東方ブームを加味すると、この時期に界隈内で大きな人口置換(いわゆる「古参離れ」)があったと考えられる。*3新規参入者が人気投票の存在を認知するまでにタイムラグがあり、それゆえに反映されなかったと考えられる。これは見方によっては、この時期に界隈の多様化が進んだと見ることも出来る。第4回と第5回の間は2年以上空いているため、この間に参入した人にとっては認知する期間が十分あったのだろう。

だが、第6回では概ねどの層も数が増加している点は謎である。一時的に離れた人が戻ってきたのか、それとも無視出来る差違なのか、第7回を見るまで判断は難しい。

年齢層

第5回から6回への有効回答増加総数:5575人 空白期間:11ヶ月

年齢 第6回 第5回 増加数 増加総数中の割合
10歳未満 17 (0.13%) 2 (0.03%) 15 0.3%
10〜14歳 486 (3.61%) 157 (1.99%) 329 5.9%
15〜19歳 4718 (35.00%) 2625 (33.19%) 2093 37.5%
20〜24歳 5637 (41.82%) 3527 (44.59%) 2110 37.8%
25〜29歳 1843 (13.67%) 1186 (15.00%) 657 11.8%
30〜34歳 597 (4.43%) 336 (4.25%) 261 4.7%
35〜39歳 142 (1.05%) 68 (0.86%) 74 1.3%
40歳以上 39 (0.29%) 3 (0.12%) 36 0.6%

表

見ての通り、高校生−大学生年代の割合が、全体・増加率共に極めて高い。これは現在活動的な同人界隈の年齢層とも一致する。25代、30代は経時による自然増加も含まれるため、恐らく第5回から6回にかけての増加分の大多数をこの層が占めていると考えられる。

男女割合

性別 第6回 第5回
男性 91.3% 94.0%
女性 8.7% 6.0%

嘘か真か、女性の割合は増加傾向にあるらしい。

認知経路

経路 第6回 第5回
知人の紹介で知った 34.3% 34.6%
個サイト、ブログでの紹介で知った 6.1% 7.9%
面白いSTGを探していたとき知った 5.2% 6.2%
格闘ゲーム好きで萃夢想・緋想天等から知った 2.0% 2.0%
Youtubeニコニコ動画で知った 21.7% 14.3%
雑誌連載・雑誌記事で知った 0.6% 0.6%
好きな作家が東方を描いていたので 2.7% 3.1%
東方の二次創作ゲームから知った 1.7% 2.0%
気にいったキャラクターがいたので調べたら東方だった 3.8% 3.8%
音楽CD(アレンジ含む)から知った 7.5% 8.9%
コミケで偶然見かけた 0.6% 0.8%
同ショップで見かけた 3.0% 4.0%
ネットでたまたま見かけた 10.8% 11.6%

ほぼ予想通りYouTube / ニコニコ動画の一人勝ち状態。若年層における動画サイトの影響力が垣間見られる。また、先の性別を見るに、現在は男女の垣根がなくなりつつあるのかも知れない。第7回の結果に期待したい。

ゲーム作品所有率

作品名 第6回 第5回
東方紅魔郷 90% 93%
東方妖々夢 92% 94%
東方萃夢想 67% 78%
東方永夜抄 92% 94%
東方花映塚 83% 86%
東方文花帳 72% 76%
東方風神録 90% 90%
東方緋想天 78%
東方地霊殿 87%

まだ何とも言い難いが、公式作品の所有率は低下傾向にあると言える。
東方Project作品 在庫情報共有システムを見るに在庫はほぼなくなりつつあるようだが、今後の推移を見守りたい。
それにしても、萃夢想の所有率が7割切ったのは意外。本家と違って緋想天の下位互換と見られたのかも。

書籍作品購入率

作品名 第6回 第5回
東方儚月抄(漫画 雑誌) 10% 12%
東方儚月抄(小説 雑誌) 9% 8%
東方儚月抄(四コマ 雑誌) 7% 9%
儚月抄連載誌を全て購読 4% 5%
東方三月精(雑誌) 8% 10%
東方求聞史紀 63% 62%
東方文花帳(書籍版) 59% 60%
東方三月精(単行本 松倉版) 24% 32%
東方三月精(単行本 比良坂版) 47% 40%
東方儚月抄(単行本 上巻 or 中巻) 59%

雑誌の購読率の低さが際だっている。単行本の購入率は比較的高い事から、綿月や三月精が本格的に流行るとすれば完結を待つより他はない(三月精は次の発売でどうなるか)
求聞史紀は二次創作に携わる人にとっては必携の作だと思うのだが、意外と高くない。7割はいって欲しいところである。

到達度

花映塚以降は回数が少ないのでグラフ化せず。

紅魔郷
到達難易度 第6回 第5回 第4回 第3回 第2回
未クリア 14.0% 13.4% 10.3% 12.5% 10.0%
EASY 18.2% 18.0% 15.4% 10.8% 5.4%
NORMAL 50.6% 51.2% 51.6% 49.9% 52.9%
HARD 12.4% 12.9% 18.1% 21.1% 26.1%
LUNATIC 4.9% 4.5% 4.7% 5.8% 5.6%
EXTRA 33.1% 32.8% 37.5% 38.2% 48.8%

表

妖々夢
到達難易度 第6回 第5回 第4回 第3回 第2回
未クリア 12.1% 12.0% 6.6% 5.9% 6.6%
EASY 18.7% 17.8% 16.6% 12.0% 14.3%
NORMAL 48.2% 47.7% 46.7% 44.1% 56.9%
HARD 14.0% 15.7% 21.3% 26.8% 17.0%
LUNATIC 7.1% 6.8% 8.9% 11.3% 5.2%
EXTRA 15.4% 16.2% 16.5% 62.7% 64.7%
PHANTASM 29.2% 30.3% 41.0% 47.8% 41.3%

表

永夜抄
到達難易度 第6回 第5回 第4回 第3回
未クリア 6.5% 7.3% 2.8% 3.1%
EASY 19.9% 17.5% 14.5% 13.8%
NORMAL 45.5% 44.3% 38.8% 37.7%
HARD 18.3% 20.1% 27.4% 29.7%
LUNATIC 9.9% 10.9% 16.6% 15.7%
EXTRA 44.1% 46.1% 58.7% 55.3%

表

花映塚
到達難易度 第6回 第5回
未クリア 10.1% 10.0%
EASY 23.0% 19.4%
NORMAL 47.9% 48.2%
HARD 10.0% 12.3%
LUNATIC 9.0% 10.1%
文花帳
到達難易度 第6回 第5回
5枚以下 7.5% 9.5%
15枚以下 11.4% 9.5%
25枚以下 10.3% 9.6%
35枚以下 9.9% 9.5%
45枚以下 10.1% 9.4%
55枚以下 10.3% 10.6%
65枚以下 9.8% 10.2%
75枚以下 12.6% 13.8%
84枚以下 9.2% 9.5%
85枚コンプ 8.8% 8.5%
風神録
到達難易度 第6回 第5回
未クリア 11.8% 14.7%
EASY 15.8% 16.7%
NORMAL 53.5% 52.7%
HARD 12.9% 11.3%
LUNATIC 6.0% 4.7%
EXTRA 41.6% 36.4%
地霊殿
到達難易度 第6回
未クリア 21.2%
EASY 26.5%
NORMAL 41.8%
HARD 6.5%
LUNATIC 3.9%
EXTRA 23.5%
難易度別
紅魔郷 妖々夢 永夜抄 風神録 地霊殿
未クリア 14.0% 12.1% 6.5% 11.8% 21.2%
EASY 18.2% 18.7% 19.9% 15.8% 26.5%
NORMAL 50.6% 48.2% 45.5% 53.5% 41.8%
HARD 12.4% 14.0% 18.3% 12.9% 6.5%
LUNATIC 4.9% 7.1% 9.9% 6.0% 3.9%
EXTRA 33.1% 29.2% 44.1% 41.6% 23.5%

表

妖々夢においてはPhantasmを採用。これは、妖Extraが通常のExtraの入門編であるという神主の発言を受けての事である。

総評

未クリア率が上昇傾向にあると言えるが、未クリア率の中に非所持率を含めているのかいないか、また「積んゲー」*4率をどう取るかで解釈が大きく変る可能性がある。
一方、高難易度クリア率の減少傾向は、そのままSTGに慣れない層が多く流入していると言って良いと思う。最近始めた人にとっては作品数が多い事から、取り敢ずNormalクリアのみを目標とし、それを達成したら他のゲームや二次創作に移っているのかも知れない*5
紅魔郷風神録のNormalクリア率が若干高いのは、両作品はグッドエンディングの条件がNormalクリアであるためだろう。また、永夜抄の未クリア率の低さ、Hard / Luna / Extraクリア率の高さを考えると、現在界隈では永夜抄が最も多くの人にプレイされている*6はずだが、永夜抄組の順位が軒並み下がっている*7ところを見ると、ゲーム自体よりも二次創作の盛り上がりの方が人気投票に強い影響を及ぼしていると考えられる。

あと、作品ごとの難易度に「地 > 紅 > 妖 ≧ 風 > 永」の傾向があるとも言える。地霊殿はやっぱり難しい。

総括

本集計は、あくまでも東方シリーズ人気投票に投票した人が任意で回答したものである点は強く留意して欲しい。
恐らくこの層は、二次創作なども含めて東方に対して比較的「積極的」な層だろう。多少の詐称・誤投票が混じっているだらうし、そもそも国勢調査などとは異なるので、あくまで参考程度として見ていただければと思う*8
私にとって今回の集計結果は特に目を見張るものではなかったが、界隈で度々指摘される事柄が数値として現出したという意味では、やった甲斐があったと思う。どちらかというと、今後7回、8回と重ねていくに連れてこの分布がどう変化するかが興味深く、是非これからも定期的に続けて欲しいものである。
最後に、これはあくまでもできればの話だが、イベントの参加履歴や住所(都道府県)などもアンケートの項目に加えていただければ、オンラインのみの層とオフオン層の割合や、地域別の流行度*9が見えてきて面白いかも知れない。

*1:リリーとかリリーとかリリーとか。

*2:キャラ部門を総数とみなして算出。

*3:自信満々に断言したが、よく考えてみたら根拠不明。だから寝言は寝てから言えとあれほd(ry

*4:購入したままプレイせずに放置されている状態。

*5:元々Hard以上のクリアはある程度の才が必要と言われていた。

*6:参考までに、第5回における各作品の評価点は「妖 > 永 > 紅 > 風 > 花」の順番だった。

*7:妹紅は大上昇なのだが。

*8:もっと言うなら、例えば紅魔郷Normal以上をクリアした人や、20歳以下のうちの妖々夢クリアの割合など、複数の項目を組み合わせた集計出来れば更に面白い事実が見つかるかも知れない。まあ、それは主催しか出来ない事である。

*9:特にイベントが活発な東北地方の割合がどの程度なのかは見てみたい。